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特集
◆インクルーシブ教育ってなんだろう?
〜四校の提案〜


違いや多様性を認め合えるクラスを作るためにやっていること
                                                                              宗賀小学校

  クラス替えをして、新たなメンバーでスタートした五年生。多くの子どもたちが、保育園の頃から一緒に過ごし、何でもわかりあっているようだったが、やはり環境が変わると落ち着かないようで、人間関係に不安を抱える子が多く見られた。そこで、一人一人の違いや多様性が認められ、どの子も安心して生活ができるクラスを作りたいと考え、次のようなことを実践してきた。
  ○「話を聞くこと」を大事にする
  ・朝の会でのスピーチ
  毎朝、当番がスピーチを行い、クラス全員が質問や感想を発表する活動を行ってきた。テーマも感想も自由だが、質問をするときは「Aさんは○○と言っていましたが」という言葉をつけて発表するようにした。最初のうちはぎくしゃくした感じだったが、続けているうちに、子どもたちは、自分が集めている物、好きな本、今夢中になっていることなど、みんなの知らない自分を語り出した。
  この活動を通し、子どもたちはお互いの好きなものや興味のあること、学校以外の場所で頑張っていることなどを知り合い、友達への理解を深めている。また、みんなに聞いてもらったことで、自分の好きなことや得意なことを再認識し、自尊感情を高めていく子どもたちもいる。
  私のクラスでは、この朝のスピーチは、お互いの違いを知り、その違いを大事にしようとする気持ちを育てる大事な活動になっている。
  ・話を良く聞き合う
  授業中は、「話をしている人の方に体を向けて聞くこと」を大事にしている。話す側も、聞いてくれる人を大事にした話し方を意識させている。自分の立つ位置、声の大きさなど、聞き手が聞きやすい工夫をするようにしている。
  こうすることで、話す子と聞く子が見えない糸で結ばれ、子どもたちは安心して自分の考えを話すことができるようになってきている。
○友達と関わりあう機会を増やす
  ・二週間に一回の席替え
  私のクラスでは、二週間に一度、席替えをする。最初のうちは、席替えをするたびに大騒ぎであったが、今では、誰と隣になっても、誰と同じ班になっても、「よろしくね。」と気持ちよく、新たな二週間を始められるようになっている。この二週間に一度の席替えで、いろいろな友達と話すことができ、お互いを理解するのに役立っている。
  ・ペアやグループでの活動が多い授業
  席替えでペアが頻繁に変わることを利用して、ペア学習やグループ学習を授業にたくさん組み込むことにしている。授業中は、自由に問題に取り組める時間を多くとり、ペアやグループ、同じ考え方の子などと関わり合って学習していかれるようにしている。このような授業を続けてくる中で、子どもたちは、自分達の知恵を出し合い、助け合って問題解決をしていくことを楽しめるようになってきた。そして、友達との考えの違いや友達の特性を理解し、認め合うことができるようになってきている。
  このように、私は違いや多様性を認め合えるクラスを作るために、主に話を聞くことのできる子どもを育てること、友達との関わりあいを大事にした授業をすることを続けてきた。しかし、本当にみんなが認め合えるクラスにするためには、私が、子どもたちの違いや多様性を大事にできる目と心とスキルを持つ必要がある。子どもたちの多様性を「よさ」と捉えられる温かなまなざしと柔らかな心、様々な子どもたちの個性に対応できる確かなスキルを身につけられるよう、精進していきたい。(小柳津由紀)

山形小学校の実践
                                                                   山形小学校

  山形小学校は、約五百名の児童が元気いっぱいに過ごす一村一校の学校です。二十二学級のうち五学級が特別支援学級で肢体不自由学級も設置されています。
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  特別支援学級に在籍している児童の多くは、一緒に学習することが可能な教科を原学級で学習しています。そのため、一日の見通しが持てるように一日の予定を視覚化しています。また、可能な範囲で原学級の授業に担任や支援員が付き添うようにしています。自・情障学級では、集中しやすいように座席の位置を工夫する、イヤマフを使用する、書字への抵抗を減らすためipadを活用する等の支援をしています。さらに通常の学級との交流もしています。三年生は給食交流、四年生は清掃交流、五年生と六年生はゲームを通して交流しています。
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  通常の学級では、書字に抵抗がある場合、漢字練習の宿題のマス目を大きくしたり練習する文字数を減らしたりしています。学級によっては、宿題の内容自体皆と同じでなくてよいという配慮をしています。また、「まなびの教室」に通室している児童のテストは、保護者と相談の上、特別支援学級で問題の読み上げを行うという支援も行っています。通常の学級内においても、テスト問題の読み上げを行っている場合もあります。教科以外では、友だち関係を築きにくい子どもが参加しやすいよう、休み時間に一緒に遊んだり話を聞いたりしています。
   不登校傾向の児童への支援・配慮
  様々な理由で教室へ入ることに抵抗があり、休みがちな児童や児童の悩みへの支援のため、教育委員会が相談員を配置し、相談室を設けています。相談員とコーディネーター、保護者や本人との相談を重ね、相談室を居場所として、学校生活を送っている児童もいます。登下校の時刻や相談室での活動内容・学習内容が過度な負担にならないように配慮しています。給食もその日その日で対応しています。休み時間は相談室を開放し、相談員と話したり友だちと過ごしたりする児童も多くいます。人目を避ける様子のある場合は、休み時間の相談室開放を行わないように配慮しています。
  ぁ〇菎良埃由のある児童への支援・配慮
  設備面では、エレベーターの設置、廊下や階段、特別支援棟のトイレに手すりの設置がされています。学習では、体育を特別支援学級で行う他、手先の麻痺に配慮して算数の作図や家庭科の裁縫を特別支援学級で行っています。原学級で行う授業や行事も多く、座席の位置や座席の近くに荷物を置くためのロッカーを設置する等配慮しています。移動では、クラスメイトが車いすを押したりクラッチを持ったりしています。
  ァ”袖い里△觧童への支援・配慮
  本校には自己導尿を必要とする児童がいます。入学にあたり、職員トイレ横の多目的トイレを自己導尿の場所とし、必要な用具を置く棚を設置しました。校外学習では、保護者と時間と場所を打ち合わせ、使い慣れないトイレでの自己導尿を保護者が見守っています。また、教育委員会と相談の上、本年度より水泳の授業に参加できることになりました。

  以上、本校で行われている一部をまとめてみました。子どもの困り感を捉え、「こうではないか」「こうしたらどうだろう」「ここで困るのではないか」と実態と照らし合わせながら想像力を働かせて考えることが大切だと思います。そして、無理なく日々できることから、まずやってみることが支援に繋がると考えます。
(原 智美)

インクルーシブ教育を推進するために「ユニバーサルデザイン」の発想を取り入れる
                                                                                           広陵中学校
  さまざまな子どもたちが生活する通常の学級。その中で、特別な支援を必要とする子どもたちへのニーズに応じた指導や支援は、個々の子どもに応じた個別のものになると考えられます。しかし、支援の必要な子どもに対する配慮の中には、通常の学級の授業で行う一斉指導の中でもできるものがあります。そして、それらの配慮は、個別の支援を必要としない子どもたちへも良い影響をもたらします。まさに、特定の人々への配慮が全ての人々の快適さにつながる「ユニバーサルデザイン」の発想を生かした配慮と言えるでしょう。そのような配慮として、私の周りで行われている実践のなかから幾つか紹介したいと思います。
   〇覲佚に刺激となるものを減らす
  本校の多くの先生方が共通して授業の開始時に行っていることがあります。それは、黒板に貼ってある掲示物やマグネット類をいったん全部はずす、ということです。当然、授業途中で使うマグネット類もあるのですが、それらも含め、授業開始時には、黒板上から視覚的に刺激となるものを全て取り除きます。このことで、支援の必要な子どもたちは、気が散らずに黒板に注目するようになります。そしてこのことは、支援を必要としない子どもたちにとって、気持ちを切り替えて授業に臨むきっかけとなっているようです。また、黒板の前に立つ授業者へ自然と視線が向くようになる、といった効果も現れているようです。
  また、本校では、黒板のある側の壁面にある掲示物を外すようにしています。避難経路図などの最低限のものは掲示しますが、それもなるべく黒板から遠い壁面に掲示します。これも、視覚的に刺激となるものを減らす例の一つです。早くからこれらの配慮をしている幾つかの学級の子どもたちには、そのようなすっきりとした黒板や壁面と毎日向き合っているせいか、学級集団全体としての落ち着きが見られる、活動への集中力が高いなど、共通した長所が見られます。
また、私は、授業の最初に「今日の授業では教科書と資料集と学習カード、それと筆記用具を使います。あとのものは机の中にしまってください」といった指示をしてから授業を始めるようにしています。これも、視覚的に刺激となるものや興味を引くものを減らすための方法と言えるでしょう。
  ◆ヽ萋阿慮通しをあらかじめ提示する
  書写の授業の際、私は最初に、その一時間での活動の流れを板書します。何時何分までは説明、何時何分まではこの活動、何時何分からは片付け、というように、その授業全体の内容が分かるようにしておくのです。そうすることで、支援の必要な子どもは落ち着いて活動に取り組むことができます。また、支援を必要としない子どもたちも、自分たちがどの段階の活動を行っているかを確認しながら授業をすすめることができます。
  活動の見通しを提示することを、部分的に授業に取り入れることもあります。例えば、授業の途中で、「ここから○○分はグループごとにこの課題をやってみよう」といった指示を出すことは、しばしばあります。その際、私は、口頭で指示を出すだけでなく、「グループで活動・○○時○○分まで」と板書します。子どもたちはグループ活動の最中に黒板を見て、それを確認します。そして、「あと三分だ、そろそろまとめよう」と仲間に呼びかけるなど、見通しを持って自分たちの活動を進めるようになっています。

  私の周りの実践の中から気づいたものを何点か紹介しました。このような、全体指導や一斉指導の中で行える、個別の支援の必要な子どもへの配慮は、他にもあると思います。個別に行うべき支援は当然あると思いますが、それと並行して、このような配慮や支援をより多く行うことで、「共に学ぶ仕組み」=インクルーシブ教育を推進する土台作りができるのではないか、と私は考えています。
(細山 和寿)

インクルーシブ教育システム構築に向けて
                                                                                    塩尻西部中学校
  「インクルーシブ教育」「授業のユニバーサルデザイン化」「合理的配慮」という言葉が頻繁に交わされるようになり、校内外でも研修を重ねてきた。しかし、実践面ではまだ手探り状態であると感じることも多い。胸を張って「これぞ、インクルーシブ教育である!」と言い切れるものはないものの、目の前にいる生徒が生き生きと学校生活を送れるようにと取り組んできたことについてまとめてみたいと思う。
  N生は自・情障学級に在籍している。昨年度、中学に入学した時には通常学級で学習をしていたが、夏休み明けから登校ができなくなり、教室にも入れなくなってしまった。そのため、昨年度はほとんどの時間を相談室で過ごしていた。支援員の先生がついていても学習に意欲がもてず、机に伏していたり、ソファーに寝転がっていることがほとんどであった。
  このようなN生に対して、今年度は主な生活の場を知障学級にした。本来は自・情障学級在籍なのでそちらの教室で過ごすべきであるかもしれないが、本校の知障学級は比較的穏やかな生徒が在籍し、落ち着いた雰囲気がある教室で学習することで、徐々に集団内での生活ができるようになるのではないかと考えた。また、支援員の先生が常に寄り添い、ラポートを取りながら対応するようにした。
  これらの配慮によって、N生は支援員の先生に徐々に心を開き、欠席もなく毎日登校することができるようになった。昨年度までは音楽室などの特別教室に行くことができなかったが、支援員の先生が「今日は音楽室の前まで行ってみよう。」「今日は音楽室の扉を開けてみよう。」と細かく課題を設定してくださり、ついには支援員の先生がつかなくても、一時間の授業を特別教室で受けることができるようになった。
  味覚が過敏であり、学校で給食をとることができなかったが、献立や食材の表を見ながら自分が食べられる食材がある日を選んだり、チャーハンなどの献立の時には、給食の先生にお願いして白いご飯を用意してもらったりなどの配慮も行った。それによって、ほぼ毎日、給食を一緒に食べることができるようになり、午後の学習も受けることができるようになってきた。
  苦手であった行事への参加ができるようになり、良好な関わりを持つことのできる人の数も増えてきている。表情も豊かになり、コミュニケーションもスムーズにとれるようになってきた。これらは、本人の特性を見極めて柔軟な対応をとることによって大きな成長が見られるようになった。
  M生は情緒が不安定で、学校では数々の問題行動が見られ、家庭でも対応が難しい状況であった。そのため、二学年の一時期は登校することができず、後半から、やっと毎日朝の一時間だけ学習に登校する体制となった。
  そこで、今年度は自・情障学級の教科担任を毎時間二名配置し、M生がどの時間割の時に登校しても対応できる体制を整えた。また、医療機関を交えて情報の交換をしながら支援会議を定期的に持った。
  M生の情緒の状態を担当する教師で共有できるようにすることと、M生の意識を自分のからだに向けさせることで自分の生活や活動を振り返ることができるように、チェック式で健康観察を行うことにした。
  それまでM生は、風呂に入ることが苦手で何日も同じ服を着続けたり、歯を磨かなかったり、好きなだけ食べてしまったりと、基本的な生活習慣を十分身につけることができていない面があった。しかし、自ら健康観察を行うことで、それまで言葉で伝えても改善されなかった生活習慣を見直すことができ、自分からチェック項目を増やしてさらに多くの生活習慣を見直すことができるようになった。生活が整ったことで、家庭で両親から受ける指摘も素直に受け入れることができるようになり、学習意欲も高まった。現在は三時間目まで学習するようになり、卒業までには一日通して学校生活を送る事を目標としている。
  インクルーシブ教育システム構築に必要な要件の中に「障害のある者に対する支援のために必要な教育環境が整備されること」とある。今回まとめた事例は、その「教育環境の整備」であり、「障害のある者とない者が同じ場で共に学ぶ」ための前段階である。しかし、これらの事例のように、個々の生徒の特性に応じた柔軟な対応をとるという、特別支援教育の日常的な取り組みの積み重ねが、今後、インクルーシブ教育につながっていくのではないかと考える。
(猿田 一世)

編集後記
本号では、「インクルーシブ教育ってなんだろう?」をテーマとして四校の取り組みを寄稿していただきました。ご協力ありがとうございました。

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